200万画素のデジカメが2000年には広大なシェアを持ち得る、しかも業務の分野においてもデジタルの本格普及が……という予測が成り立つほど、デジカメは普及してきている。
まず最初のハードルだった「解像力」に関して、確かにサービス判程度のプリント上で破綻のない品質になっているし、価格にしてもこなれてきていることは確かだ。高級コンパクトカメラを買う感覚とそう違わない。
プリント時のサービスが整わない(デジタルにおいても最終的には自分でプリントするヒトは少数派になると思う)現在では、いまひとつ銀塩の明快さに及ばないが、大きな問題ではないはず。
レンズ付きフィルムやコンパクトカメラを愛用しているヒトにとっては、銀塩写真にこだわる必要はなくなる時代がやってくる。別段、彼(彼女)らはカメラが好きなわけではないのだから。きれいな写真が獲得できればそれでいいんじゃないか。
カメラも好きなヒトには、すでに銀塩写真用の機材に関しても不満が多いのに、ましてやデジカメは……。EOSの最大の欠点は持ったときの質感がチャチなところ。値段に見合った質感を備えていない。業務用の機材としては今でも最高峰のレベルにあるけど、その点でカメラ愛好家には実はさほどの魅力はないのだと思う(レンズはまた別の話)。
新品のときはいいけど、使い込んでいくと相応にみすぼらしくなってしまう日本の工業デザインの欠陥を見事に踏襲しているということ。これは単に外装にプラスティックを使っていることも関係あるけど、たぶんそれだけではない何かがあるんだろう。だってEOSデザインの原型になったキヤノンT90(ルイジコラーニ)はぼろくなっても意外にいい味あるもんな。ていうかあの曲面を金属で作るのは無理だからプラってことになってるんだろうけど。
実はプラスティック外装は金属外装よりも温度が下がりにくいので厳寒下でもフィルムが凍ったりしないし、その分軽いから実用的なんだけどね。強度はあるわけだし。売れないカメラは作らない、技術重視のキヤノンらしい選択(笑)。
だからキヤノン的な方向性のデジカメが普及して、いずれプロの多くが使うようになるだろうことは間違いない。そのほうが実用的だし。カメラが好きなんてのは主客が転倒していることは自明なわけだけど、そういう金属執着系のヒトが満足できるデジカメはたぶんすっごく後になって登場することになるんじゃないか。
今10代20代のコが70年代80年代ぐらいのカメラに関心があるのは、回帰ムーブメントが作用しているだけで、一時的な現象と考えることもできる。やっぱり扱いが大変だ、古いカメラは。だから若い女の子がニコンFやらオリンパスOM-1やらを首からぶら下げているのを見て、それを本筋だと判断するのは危ない。
ニコンはF3を作り続けているから偉いとは思うけど、もう魅力的なレンズがないし、あるとしても最新のボディじゃないと不便だったりするわけで、結局不満はあるけどEOSってことになるんだろう。つまるところカメラではなくレンズが重要。
だから最新のボディに古いレンズをうまく組み合わせるのがいいんじゃないかと。露出情報なんかは連動しないことも多いんで露出計は必須だけど。
まとまりがなくてゴメン。