日本語タイトルは「指輪物語」。「ファンタジー」の物語原型として広く伝搬しているトールキン(トルーキン?)の長大な小説(3分冊)。その登場は1960年代じゃなかったかと記憶している(あるいは評価されたのが)が、いずれにせよその人気がアメリカで沸騰した結果か、1970年代末(80年代初頭かも)に当小説を下敷きにしたアニメーションが日本でも公開され、わけも分からずに観た記憶がある。
2時間を超える作品だったが、すでに物語そのものよりも製作技術的に関心があるという、なんとも鼻持ちならない中学生だったため、ロートスコープとかいう当時の最新技術(と喧伝していたような気がする)を一目見ようとかけつけたこともあってか、原作の完全再現ではなく、ハナシが尻切れトンボに終わったことにも若干の失望しか感じなかったように思う。映像的には充分に満足のいくものだったから。
ちなみにロートスコープ(表記は正確ではない)は、いってみればライブアクションのようなもので、実際に役者が行った演技をフィルムに撮影し、それをあらためてアニメーションの動画として起こす手法(あるいはそういった方向性の技術)のことだと記憶している。当時収集したチラシにそんな説明があったように思う。
さて、ずいぶんと前にクランクインしたような気がするが、初の実写化となる「指輪物語」(3本に分割)の第1作がいつ公開されるのかは、いずれ公式サイトに発表されるだろうが、その前にかつてのアニメーションをもう一度観てみたいと思うことが、ここのところたびたびあるが、残念ながらビデオの実物を見たことがない。
世間の関心がハリー・ポッターに向いている(もとより向いていないかもしれないが)うちに何とかしないと、もしセルビデオがあるとしても、「指輪?」公開が決定した後は、下手をすると安易に入手できなくなってしまうかもしれない。いまだにアメリカでは「スターウォーズ」よりも人気がある「ファンタシー」なのだから、配給映画会社の広報担当だって、そこのところを利用しない手はないだろうし。
指輪物語に関する情報がワイヤードに増える一方なので少し焦ってきた。
[追記]
指輪物語の映画に関してもう少し。
トリロジー1作目の公開は2001年の12月に予定されている。まだ先のハナシである。ところが製作会社が公開した2分間の予告編は、米国時間4月7日に公開されてから24時間で170万回ダウンロードされたらしい。実はワタシもダウンロードしたのだが、なぜかウチの環境では観れなかった。……いずれ何とかするからそれはいいが、それにしてもこの数字はどうだろう。
先日も少し触れたが、スターウォーズよりも人気が高いというその根拠は、Amazon.comが調査した数字に依ったモノだが、大半の映画供給側がいまだ気づいていないとしても、ワイヤードの存在が映画宣伝にとって絶大な効果を持っていることは、疑いのないところだろう。
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」、あるいは「踊る大捜査線 The Movie」、そして「スターウォーズ新3部作」にしても、この記においての作品表記があいまいなほどにどれも観ていない。しかし冷静に考えて、上記3作品に象徴されるような、ワイヤード上でのビリーバーによる布教活動は、少なくとも上意下達を旨とした他の宣伝活動よりも、消費者にシンパシーを感じさせることだけは確かだ。今のところ、ワイヤードはぎりぎりのところでアンダーグラウンドが存在しているように、「市民」のものであるようだから(安心はできないが)。
もちろんそれはイリュージョンにすぎず、さらにいえば幻想として成立しているのは、いまだワイヤードがマイノリティとして機能しているからにほかならない。益があるということが自明になれば、別段珍しくもない大資本の参入が本格化するだけだから。
目的の「指輪物語」はどうだろうか?
熱心なフォロワーが少なからずであることは承知しているが、それが膨大な製作費を補えるだけの保証は毛頭ない。であるがゆえの需要の「掘り起こし」であり、それは公開まで間断なく次第に強まっていくことだろう。どちらにしても作品は観てみるまでわからない、もとよりそれがすべてだが。
[追記02]
あれ? こんなにスペースを割くつもりはなかったんだけど、まずいなあ。
そもそも熱狂的な人たちに比べれば、ワタシの思い入れなんてものはないに等しい(それは私自身が指輪よりも「ダーク クリスタル」あたりに夢中になってしまっていたあたりに自明なのだけど)。
「スターウォーズ」にしても「新三部作」を最終的に強力に支援したのは、「スターウォーズ」的空気感が、それこそ「自明」としてあるような、ありていにいえば当たり前のモノとして世の中に認知された世代だった(リアルタイムに1作目を見ていなかったり)ようで、第一世代のヒトは「ひいてしまった」という経緯はどうか。
これがおそらく「指輪」にも適用されるであろうことは予測がつくわけで、いやそれどころか「縮小再生産」が続く限り確執はどこででも起こりうる。別段たいしたことじゃないともいえるけど。
わかりにくくく言えば、第一世代にとって得心たるようなモノが現在提供されることになれば、それはたぶんビジネスとしては破綻することにもなり、その逆であるならばやはり「薄い」ものでしかない。
これは小説→映像化というプロセスの中でも起きていることだし、とにかく何にでもたいてい当てはまったりする。「指輪」が幸運だといえるのは初めての実写化ということで、その点では皆等しく第一世代になる。しかし落胆は小説から入ったヒトのほうが大きい。ここのところが皆さんの恐怖だわな。もちろんワタシの恐怖でもあります。
ちなみに「指輪」同様にして「ダーク クリスタル」のビデオも探してたりして。