2000年 7月 の記事

コンコルド(協調)

英仏協同開発からこの名前がついたオージー翼(反曲線翼)の超音速旅客機がついに地に落ちた。1969年が初飛行だったのだから、諸事情によって少機体数による実質的な飛行回数の少なさがあるにしても、基本的にデルタ翼の流れをくむオージー翼が翼端失速をおこしやすいことを考えると、あのひっくり返った状態での墜落は過去に起きても不思議じゃない事故だったのかも。ゆえに無事故ってのは勲章だったはずだし、そのおかげで存続していたようなものだったのだろう。もちろんエンジントラブルさえなければ、もう少し被害を食い止めることはできたのかもしれないが……神話は崩れた。
大気汚染や騒音公害、旅客数の少なさ、燃費の悪さなど、現代の旅客機事情から考えるにあまりにも悪条件が重なってしまった。しかしながら、夢があったんだがなぁ。安全第一を旨とする旅客事業から考えれば、まったく反対のヴェクトルを向いているところが、好きだった。乗り心地は最悪なんだそうだけど。それでも安全至上のジャンボジェットがヘタレな墜落をくり返しても、コンコルドは落ちなかったのに……。
でも、英国航空は運行を再開したようだね。ガンバレ。

G4 Cube

さまざまなサイトで拡張性がないことを糾弾されているCube。PCIバスによる拡張性さえ確保されていれば、これほどまでに言われることもなかったのだろうが、拡張性を望む向きにはタワーG4があるではないか……と言われてしまうかもしれない。iMacが成功を収めた今、メーカーに何を言っても無駄だろう。
実は電源も内蔵ではなく、例えば持ち運びの際の優美さには欠けるかもしれない。本体は軽いだろうが。Jobs流のプレゼンの極み。
ただ、iMacにおいて表面上の処理(スケルトン)+色味が商品訴求力の大部分を占めていたのに比べれば、Cubeはずいぶんとがんばっているように思う。もちろん、NeXT Cubeという先例があった以上、箱形状であることに目新しさを強調されてもと考える向きが少なくないことは承知の上でだが、いくつか気に入った点をあげてみよう。
まずは内部にアクセスするその仕組み。筐体(もはやこの呼び方も似つかわしくない)を転倒させて、ハンドルを引っぱり、ロジックボードを引き抜く。この儀式的な手順を採用したことは、自ずから拡張性を持ち得ないコンピュータなぞという前提を反古にしてしまうほどだ。かなうなら引き抜きの際に「プシュー」とやらの効果音が用意されていればとも思う。
RAMに関してもDIMMスロットが3基装備(最大1.5GB)されているので、非常によろしい。純正仕様で満足のいくユーザーならば必要となるのはメモリの増設ぐらいだろうから。
販売価格が足枷になるだろうけれども、iMacよりは買う気になる商品だ。というよりモニタを省略したiMacと言えなくもない……ゆえに高いという感想につながりもするのだが。

Apple関連

NY EXPOで新製品が発表された。詳細はMacintosh専門サイトでいくらでも報告されているため、ここでくどくど書き連ねる意味もない。気になった製品についての感想だけ。
従来のタワー型G4にデュアルプロセッサ搭載製品(500MHz×2)が加えられた。非公式にはPentiumIIIに対抗できる速度を実現するとも言われているが、条件次第かもしれない。高負荷が避けられない作業を中心とする需要にどれだけアピールすることができるだろうか。
iMacに関しては外観形状の変更はない。Cubeがその「変革」を担っているため必要ないのだろう。真っ白いiMacの登場も、Cubeに象徴的なプロダクツ全体のコンセプト(透明度アップ、白っぽい印象)と同期をとるためかもしれない。蛇足だが、揃ったカラーは、Ruby(赤)、Sage(緑)、Indigo(青)、Graphite(黒)、Snow(白)となり、RGBとB&W……少し理屈っぽい色合わせかもしれない。
さて、Cube(Power Mac G4 Cube)だが、往時のNeXTを想起させるこのシンプルさがどの程度需要を見込んだモノなのか見当もつかない。ただ、かつての黒Cubeのような、いかにもコンセプトが先走ったモノとは違い、今回のCubeは本質を「分かって」購入するユーザーには高い満足を与える製品になっていると思う。使ってもいないが。ATの世界で便乗するメーカーは出てくるかどうかもカギだろう。
キーボード(Apple Pro Keyboard)はカーソルキーが独立した。「Pro」の名称が冠せられたが、過去の拡張キーボードのごとく「プロ御用達」を意味するモノとはとらえにくい。従来製品と幅が似通ったモノなら、キートップの横幅がちぢめられているだろうか。実物を確認したいところだ。
光学式となったマウス(Apple Pro Mouse)は、上部から見た場合の形状が「楕円」に戻った。といっても過去製品と同形状の楕円ではない。横から見た場合の形状はかつての楕円マウスに近いようだ。これも実際に触ってみたい。
15インチ液晶ディスプレイ(15-inch flat-panel Apple Studio Display)は、シネマサイズ(この場合横が長いディスプレイ)ではないが、Apple Cinema Display系統のニュアンスを含んだ魅力的なデザイン。15インチサイズで1024×768ピクセルの表示はどうかと思うが、売れそうな製品だ。

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