先般の更新からずいぶん経つが、その間コンピュータ関連の細々とした環境改変に終始していた。作業はまだ完了していないが、更新へ意識を向ける余裕が少しだけできたのでオボエガキ。
以前にディスプレイのヒンジが損傷したPowerBook5300csを譲り受けたことを書いたと思う。色々変な現象が起きるという噂のこの系列だが、その故障以外は特に問題もなく動作しているので、そのままにしておくつもりだった。しかし、PowerBook関連のWebサイトにアップルの5300、190シリーズのリワークプログラムは完了していない、つまり続行中(終了期日は未定だそうだ)という主旨の記述があり、せっかくだから試してみることにした。
くだんのサイトには「パワーブックREセンター」(〒275-0024 千葉県習志野市茜浜3-4-13)という部門へ連絡せよとあったので、早速電話してみる(0474-54-3381)。実際にはフリーダイヤル(0120-30-3211 平日10:00?12:00、13:00?17:00)が用意されていてそちらにかけ直すことに。丁寧な電話応対で、本体裏側のシリアル番号(ワタシのはSG53516N5KP)と「Appleシール」の有無(リワーク後に貼られるシール)を聞かれ、めでたくリワーク対象となる。
リワーク対象外の場合はNCRを紹介されるというハナシも以前にどこかで知ったのだが、実際修理代金に2万円ほどかかる(この場合、NCRの初診料は別かもしれないし、修理の度合いによっては料金は変動するかもしれない)となると、やはり無料で修理されるのはありがたい。元々Appleの不手際で起こったことではあるが、ワタシが購入したわけではないので、素直に感謝した。受付のお姉さんの真摯な対応にも好感持てたし。
マシンはパワーブックREセンターまでの宅急便着払い伝票(黒ネコ)が送られてきて、同封の「Macintosh PowerBook 190/5300モデル リワークプログラム依頼書+機器納入依頼書+同意書」(ひとつの紙に3種類の内容がまとめられている)に必要事項を書き込み、本体+バッテリー(AC電源は不要)とともに送ってしまえば、後はリワークの完了したPowerBookの到着を待つばかり。修理には1週間から10日ほどかかるとのことで、しかもリワークプログラム自体が「予約制」(ワタシの場合は9月1日からリワーク開始)なので、気長に待つことにする。
ただリワーク処理が施されたマシンでも再びヒンジが壊れるというハナシも伝え聞こえてきているので、戻ってきたらせいぜい大事にしないとなあ。いやすでに自分で使っていないのだけれど(笑)。
余計なことだが、アップルのサイトではこのリワークプログラムについての説明が検索できないのはなぜだろうか。販売台数8万台のリワークがいまだ完了していないことの原因の一端があるような気もする。みんながみんな情報に精通しているわけではなかろう。ほんとメーカーのサイトすら訪れないヒトだって沢山いるのだから、本気でリワークを終了させる気があるならさまざまな方法で告知を徹底させるのが効果的だと思う。中古販売店とつながりを持つのは差し障りがあるのかもしれないが、そうしたところでのインフォーメーションは意外に浸透するぞ。
[追記]
28日に「パワーブックREセンター」に送ったPowerBook5300csの件で、さっそく連絡が来た。LCD(液晶)そのものか液晶ケーブル(?)だかが寿命だとか……リワークプログラムではヒンジ部の交換とロジックボードの配線をいじることが主目的で、それ以外の故障に関しては有償になるとすまなそうな声。LCDが逝っている場合は部品が50,000円+工賃(有償修理は「アーク」という会社を勧められた。近隣だそうな)となるとのこと。もちろん頼めるわけはない。その金があったらリワーク適用後の同マシンを中古で買うわな。
で、リワークには1週間から10日というハナシだったが、すでに作業にとりかかろうとしていたようだ。明後日31日にはこちらに送られてくる。この対応の早さは、すまなさの一表現か、あるいは厄介者を早く手放したいからなのか。真意はどうあれ、問題を抱えた状態で戻ってくるのは間違いなく、少し残念。
LCDそのものの損傷なら、モニタ外部出力でなんとかなるが、ケーブルだとやっかいだな。でもな故障がケーブルだとしたら、ヒンジが壊れていることと因果関係あるんじゃないの? 壊れたヒンジ状態で開け閉めすればおかしくもなるんじゃ……そんな疑問を持ちつつ徒労感漂ってます。ま、貰いモノだからしかたがないか。自分で買ったモノならもう少しごねるけど。
覚えておいてほしいのはAppleの品質管理はそれほど良質ではないということ。標準かそれ以下。だからといってAT互換機のように別メーカーに乗り換える、あるいは自作するというわけにはいかない。
ソフトとハード、両方作っているから親和性が高いという理屈はあるにせよ、であるならもう少しきちんと動くキカイを提供するべき。Windowsと比較して安定度を誇るべきではない。おなじことをMacintoshプラットホームでやったらおそらくもっとひどいことになるかもしれないし(Windowsの互換性維持はたいした努力だと思う)。また、両方作っているから負担が大きいというメーカー養護の言い訳を甘受する、奴隷的体質を持ったユーザーが多いおかげで成り立っていることをApple(アップル)は強く肝に命じるべきだろう。
[追記02]
本日宅配便到着。実は相当に汚れた状態だったので、外観の変化には興味があったのだが、やはり見た目は新品同様になって戻ってきた。
問題はきちんと起動し、正常に動作するかだが、それも今のところ問題なし。先日の電話でさんざん脅されていたのでなかば諦めていた分、嬉しさもある。ただ、部品の特定はできないが「寿命」であるということを知ってしまった今、もう以前のような気持ちで接することができないのが残念だ(壊れたらもうオシマイ)。記憶が気持ちに反映されるときには人間ってものの不合理を感じる。
Appleの製品品質が最大限に悪化していた時期の製品であるがゆえに、そのスペックを正当に評価されたことがない5300シリーズだが、性能だけをみれば当時の常識的な線だろうし、それはデスクトップの7500シリーズなどにも言えることだが、不遇のマシンだなと思う。
リワーク対策を施した後の筐体でもヒンジ部の破損が起きてしまうというハナシも、それが事実であるかどうかということよりも、そういう状況を予感させる、品質の低さ、例えば手で持ったときの剛性のなさ(なんとなくグニャグニャする)が起因しているのだと思う。
自分でリスクを背負うような自作機やそれに付帯した改造方面に手を染めることを躊躇しないユーザーが数多いプラットホームでないことが、この種の不良品の存在を必要以上に目立たせる要因にもなったし、ATのようなオープンなプラットホームに育てることができなかったとも言える。
Appleが互換機路線をやめて、品質管理に注力できる範囲をせばめたおかげでこうした事故は少なくなったという経緯(それが真実かどうかはわからないが)を考えると、Macintoshプラットホームの闇雲なシェア拡大は危険でもある。何より一定のシェアを維持することが肝要で、右上がりのグラフを期待してはいけない。永久にマジョリティにはなりえない存在なのだ。
私見を言えば、DTP専用機、2次元グラフィックコンピュータでもいいじゃないかとも思う。いかにMacOS自体の使いやすさがあるとしても、ハードウェアの品質は別物だろうし、先にも書いたが、性能向上や安定性を狙ってマシンを自作するということはできないのだし。
Appleが生き残るのはDTVなどという分野なのではなく、紙媒体に限定はしないが、いまだパブリッシング方面であることは間違いない。いやそこでしかありえない。キカイに最も頓着しない分野、これがAppleが唯一優勢を誇れるマーケットなのだ。