2001年 3月 の記事

ブロードバンド前夜

DSLとか、CATVとか、光ファイバーとか、威勢のいい花火が打ち上げられているが、周囲ではせいぜいフレッツISDNがせいぜいで、ワタシ自身はアナログ56Kbpsと、「取り残されている」ような焦燥感がひしひし。
この焼けつくような感覚があふれていれば、それはその業界のある程度の「高揚」を保証している。換言すれば、誰もが「どうでもいい」モノは大きな飛躍は望めない。必要なモノだけが定量消費されていくだけだ。誰も炊飯器の未来に多大な期待を持たない。
単に「銀行馬券」はどれかと鵜の目鷹の目で、その実「消費」するだけのユーザーが大半を占めるゲーム世界の「荒廃」を考えれば、まだインターネットは救いがあるかもしれない。いまだはっきりしない高速回線さまざまに一様に期待もしているし、「なんだかわからないけどひとつ導入してみるか」といった豪毅さにあふれている(同様にコンテンツの面においても受動一辺倒ではなく、相応の活発さを期待したい)。
……今年、Intel世界では「ノートパソコンでギガヘルツ」がアッという間に当たり前になる(もはやインフレーションだが)。OSを快適に動かすためにはもっと速度が必要かもしれない。Macintoshにおいても、OSXに関して言えば同じことが言えるだろう。
ところで、インターネットでの「体感速度」の目安は、サーバの速度はとりあえず度外視すると、クライアント側での、「WWWの表示」と「(巨大データの)ダウン(アップ)ロード」にあり、表示速度は主にマシンのパフォーマンス、ダウン(アップ)ロード速度は回線速度に依拠する。
具体的には「重いウェブサイトの閲覧」には「速いマシン」が必要で、MB(メガバイト)単位のファイルをダウンロードするなら「速い回線」が求められる。その両要素を切実に希求するのは18禁サイトを愛好する場合などで、日々膨張するバナー広告をザックリ表示、膨大なMPEGキャプチャーをサクッと落とすこと以外に望むことがあり得ようか。
仮に将来性のないISDNであろうとも、インターネットには不相応なギガヘルツ演算速度を持ってすれば、単なるWebの閲覧はモノの数ではない(つまりブラウザが速ければよいのだ)。更には度外視されている旧世代のCPUでさえ、光ファイバー上では、「使いモノ」になってしまう。
しかし、ISDNの1500倍程度の速度が出せる見込みをもった光ファイバーが、当たり前のように利用できる世の中が早晩訪れるかといえば、どうだろう? それまでの間に踊らされるようにさまざまな回線を喜々として導入するほうが気が利いている。ユーザーが「投資」への「関心」を失ったらその世界は「終焉」する。これはいかなる場合も同じ。可能ならCATVやDSLを導入してみよう。ワタシも努力はしてみます(笑)。

昭和館

地下鉄九段下A2番出口から出て、坂道を少し下った右手にほんの少し奇矯さのあるデザインの建物がある。戦中、戦後の苦しかった時代を風化させないためというお題目で「昭和」の一時期を切り取った「限定」博物館。
もう何度も前を通りすぎ幾年たったか、どうにも入りにくい雰囲気の入り口玄関だ。しかし、館前の掲示板にある「昭和館土曜名画劇場」の告知が数日前から気になっていたこともあり、面白い映像があるかもと、入ってみることにした。
平日の午前中ということもあるだろうが、客はどうやらワタシひとりだけ。とりあえず常設展示を見ようと入館料300円を支払い(自動券売機)、エレベータで7階へ。常設は6階と7階になる。
ここで常設展示の内容をくどくど述べるつもりはない。というのも正直言ってあまり面白くない。この手合いの展示としては物足りない。物品が展示されているだけで、例えば、戦中の建物内部の再現であるとか、もう少し目を惹く大物展示がほしい。江戸東京博物館に遠く及ばないのが残念。
が、しかし目的は「映画」なので、5階の「映像・音響室」へ行ってみる。ここだけを利用する場合は無料。最初からそうすれば良かったか。ともあれ、入り口で利用申し込み(氏名・住所などを記入提出)をし、端末の番号札を受け取り、さっそく検索してみる。
コンピュータはタッチパネル操作でレスポンスも高速。写真画像の閲覧はもとより、館所蔵の映像も短い記録映像(1500件収蔵)の類ならモニタ上で観ることが出来る。MPEG2圧縮なので若干画質は荒いが、元の映像も高画質ではないモノが多いので、こんなものだろう。
商業映画(658本収蔵)に関しては端末で検索後、借り受け票を出力し、受付でVHSビデオを借りることができるようだ(試してはいない)。ワタシは小津作品を探したが、「お茶漬の味」「東京物語」「長屋紳士録」「麥秋」という分かるような分からないようなラインアップ4本がヒットした。探すならビデオ入手が難しい監督作品が狙い目か。
前述の「昭和館土曜名画劇場」(先着100名・入場無料)というのはこれらのライブラリとは別なのか、それとビデオを観賞するモノなのか聞きそびれたが、3月10日には渋谷監督「自由学校」、24日には今井正監督「ここに泉あり」(小林桂樹、岸恵子、岡田英次)が上映されるようだ。「自由学校」は佐分利信、佐田啓二、高峰三枝子、そして笠智衆という小津作品でおなじみの「豪華」キャストで、もしフィルムなら見逃せない。
午後2時上映で、上映の30分前に1階受付で整理券が配られるようだ。並んどくか。

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