レンジファインダー用ロシアンレンズとしてはプレミアがつく一方のルサール 20mm/5.6。もう少し安いときに手に入れる予定だったが機を逃したため数年様子見だった。先般秋葉原のにっしんで久しぶりに実物を見てにわかに欲が出た。その出物はレンズのみ(専用のファインダーが本来セットになっている)の委託品で妥当な価格がついていたが、シグマ 30mm ニコンマウントの発売前でもあったため衝動買いは避けた。数日後銀座三共カメラで見つけた玉はやはりレンズのみ。しかしながら「買う気になる」値付け。フィルター枠が高めのいわゆる後期型で当たりはずれが激しいとされるタイプだが思い切ってみた。
単体での姿。といっても比較するものも写していないのでわかりづらいか。兎に角軽い。左手にレンズ持って、右手でカメラ(G2)を持って楽々撮影できるほど軽い。


試写は初めはベッサ T、次にベッサ R3A。ファインダーは製造元不明の怪しい21mmを付けてみた。倍率が高くないので眼鏡越しでも画面のけられが少ない。いずれはフォクトレンダーあたりの 21mm ファインダーを付けてみようと思う。
対称型超広角の宿命でもある後玉の飛び出しがベッサのボディに当たってしまうため、無限遠までピントの送り出しができないことから今現在はライカ M4 に装着している。風説によれば個体によってはヘキサー RF あたりだとボディ内部に抵触しないという話もあるが、スーパーアンギュロンと同様に通常露出計内蔵の機種では簡便に使うのは難しいと考えた方が良いだろう。
せっかくなのでニッコール 2.1cm を装着したニコン F2 と並べてみた。ニッコールがいかに薄型であってもミラーボックスが出っ張る一眼レフではレンジファインダーとはボディの厚みの次元が異なる。まあ厚みがなさすぎて構えに気を付けないと指が写りこんでしまうが、重量79gという軽量もあわせ非常に軽快で気に入っている。肝心の写りの点も危惧していた片ボケもなく、巷間言われる〈前期型はシャープネス重視、後期型はトーン重視〉を地でゆく撮影結果でまずまず満足できる。シャープネスはニッコールがあれば良い。コーティングのないレンズ面もあるためだろうが、フレアやゴーストに関してもかなり気を使うが、私が生まれる前の設計だと考えてみればむしろ良く写ると感心するばかりだ。